近衛読書中隊

挙措において簡素 言語において細心 熱狂において慎重 絶望において堅忍  

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佐々木二郎『一革新将校の半生と磯部浅一』より

裁判長若松只一中佐は、
 「大蔵大尉ともあろう者が、先に肯定したものを今に及んで否定するとは、どういうことか」
 ときめつけた。この文句は、それこそ若松中佐ともあろう者の言ではない。このような、人を辱しめるごときいい方は、ことに裁判において、誇り高き武人に対してするものではない。返事のしようもなく、ただただ罪に陥れんがための悪魔の言葉になるのだ。
 「ちょっと待って下さい」
 と、大蔵は考え込んだ。やおら顔をあげた大蔵は、
 「戸山学校時代、校長渋谷中将は(大蔵は手でその恰好を示しながら)世の中はクルッと小さく早く変るものじゃなく、大きくゆっくりと変るものじゃと私にいいました。今度私か東京に護送される途中、京都駅で求めた新聞で満州にいた中将の逝去を知り、感慨無量でした。-どうですかわかりましたか」 「否、さっぱりわからん」
 若松裁判長の答えに判士以下、しばらくは笑いを噛み殺すのに苦労した。しかし大蔵なればこそ、この名答弁ができたのだと、私は笑いながらも思った。

上記は私の好きな一節です。
「世の中はクルッと小さく早く変るものじゃなく、大きくゆっくりと変るもの」
いい言葉です。小学館の『二・二六事件秘録(三)』にこのやりとりが載っているかなと思って、開いてみましたが、どうも省略されているよう。ちなみに第五回の公判で大蔵大尉は、例え話が多く話が冗長であると若松裁判長から注意を受けています(笑)。勿論そんなもの意に介する大蔵大尉ではありませんが。
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大きな岩はなかなか動かすことは出来ないが、いったん転がりだすや誰にも止めようがない。
そんなフレーズを何かの歴史本で読んだ記憶がございます。これと関係あるでしょうか。

2008.03.24 23:48 URL | 名もない軍属 #- [ 編集 ]

そういう例え話もあったと思いますが、この渋谷伊之彦中将の訓戒というのは、急進を戒め、焦るな、ゆっくりやれという意味だと思います。大蔵大尉は渋谷中将の訓戒通り、戸山にいたときは仲間の急進派を押さえていました。しかし事件は、彼が朝鮮に帰った後起こりました。大尉は蹶起には反対でしたけど、起こってしまった以上、心情的に、無碍に自分は反対だったとは言えなかったんでしょう。予審の段階で蹶起に同意する物言いをしてしまったようです。その辺の矛盾を若松只一につかれたときのやり取りです。
正直私自身、佐々木大尉ほど、この明回答の真意はつかめていないんですが、何となく好きなんですよ。

2008.03.25 08:18 URL | maroon_lance #su7LfdQk [ 編集 ]













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